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食と健康と環境に役立つ微生物を活用する

食健康環境学専攻 食品バイオ工学研究室 松崎 弘美 教授

バイオテクノロジー産業の一翼を担っているのは微生物です。有用微生物を自然界から分離し、その多様な機能を食品・健康・環境に役立てるための微生物利用技術の開発を目的として研究しています。主に以下の研究を行っています。

(1)微生物バイオポリエステルの生合成に関する研究
石油由来のプラスチックのほとんどは環境中で分解できないため環境に負荷をかけています。そこで、バイオテクノロジーを駆使した微生物育種により、物性に優れた実用的なバイオポリエステル(生分解性プラスチック)の生合成を行っています(図1)。

(2)乳酸菌が生産する生理活性物質の機能と用途開発に関する研究
乳酸菌が生産するさまざまな生理活性物質を食品へ応用し、保存性の高い食品や健康機能性を有する食品を開発します。例えば、乳酸菌が生産するタンパク質性の増殖阻害物質バクテリオシンは、天然の安全な食品保存料としての利用が期待されています(図2)。また、健康機能性を有する乳酸菌を利用して健康に良い食品を開発することをめざします。

(3)腸内細菌叢に関する研究
腸内細菌はヒトの健康に影響を及ぼします。食品機能性成分や栄養成分を摂取した際の腸内細菌叢の変化と健康との関わりを明らかにすることをめざします。

図1 微生物が合成した生分解性プラスチックをフィルム状にしたもの
図2 江津湖の水草から分離した乳酸菌による抗菌活性試験
(乳酸菌のバクテリオシンによって周辺の微生物が死滅)